アトリエ

アトリエというか、イーゼルの並んだ美術の教室である。
イーゼルとは絵を描くキャンバスや画板を立てかける
木製の台のようなのもである。
そんな教室がいくつも並んでいる。
そこへ20名ずつ位に別れて、部屋に入る。
油絵のアトリエは南側から光が入るようになっている。
打ちっ放しのコンクリートの床はイーゼルと椅子でいっぱいになる。

見渡すと、30歳〜50歳の女性が半数以上を占める。
ほとんどが家庭に入った女性である。
旦那さんに協力してもらって九州の方から来た人もいる。
若手(失礼!)は私を7人位なので、すぐに知り合いになれた。
ひとりは横浜の男性で、ワゴン車で車通学していた。
もうひとりは整体の男の人。体の歪みを直す。
千葉から女性は交番恐怖症で、最寄りの鷹の台駅前の交番を避けていた。
もうひとりはかなり本気の絵描き志望で、のちに交番恐怖症の女性と
仲良くなった。

美大の構内はいい。自然に絵を描こうという雰囲気になる。
別の教室を覗いてみると、人の高さくらいあるような
大きなキャンバスで絵を描いている。
美術館のようなものもあり、卒業生の作品を飾っている。
充実しているのは画材店で、木炭だけでも何十種類もある。
木炭デッサンでは、木を焼いて炭にした木炭と、堅めに漉いた木炭紙、
そして、食パンの白い部分を使う。
パンは消しゴムの役割をする。
木炭は堅さ、太さ、色の濃さ、などで種類が分かれている。
画材店では木炭を全種類買って、おみやげにする人もいた。

実習が始まると、皆、石膏像に向かって静かに描き始める。
石膏像を使うのは通信科の学生だけで、
本科の学生は人間の裸から始めるらしい。
皆、絵を習おうと来ただけあって、デッサンもうまい。
少ない時間であるのと、成人している人が多いので集中力も抜群である。

昼食は学生食堂を使う。
メニューも充実している。
初日はまわりには知らない人ばかりで緊張したので、
味がわからなかった。

つぎ

もどる