No.13 刺激の好きな女の子
 
お父さんが帰って行き、夜はふけて僕は居間に居づらくなった。
居間にいるのは、また涼子さんと触れあえることを期待したからだ。
お父さんの訪問は涼子さんの機嫌を損ねてしまった。
僕は自室に入り、パソコンの前に座った。
電源を入れようか。
やめた。
 
僕はベッドに横になる。
恋をしているのかもしれない。
涼子さん、どこにでもいる大学生の女の子。
なのに近くにいるだけで異性を感じてしまう。
胸とウエストとお尻なのかな。
美人っていうのが、引き寄せるものなのかな。
僕といっしょの屋根の下でいいならば、僕のこと少しは好いてくれているのか。
でもそれはお父さんの命令みたいなものだし。
 
ドアをノックする音。
 
「めがねくん、入っていい?」
 
もしかして、もしかして、告白かな?
 
「いいっすよ」
 
涼子さんは入ると僕の横に座る。
涼子さんは僕の肩に手を回して、
悪ふざけで男みたいに話しかけてくる。
 
「めがねくんよう、インターネットはしないのかい?」
「これから、やろうかなって思っていたんですけど」
「退屈〜、レンタルビデオでも借りに行かない?」
「ビデオ屋ですか?いいですけれど、学生証持ってます?」
 
涼子さんは僕に体重をかけてきて、僕はわざとベッドに倒れ込んだ。
胸は弾力あるけれど、洋服とブラジャーの二枚ではあまり感じ取れない。
 
「なにをしたいんですか?」
「忙しいけれど退屈なんだもん、なんかない?」
「トランプとUNOならありますけれど、オセロもあります」
「風呂入ろっか」
「風呂、僕と風呂ですか?」
「めがねくん、絶対さわったりしなさそうだから」
「彼氏の許可は取らなくていいんですか?」
 
涼子さんは、僕の脇腹をくすぐる。
うへー、これはたまらん。
 
「やっぱやめ!、めんどくさいや」
「そうですか…」
 
わー、とても残念だー!
 
「なんかいまいちだよね、めがねくんってさ」
「なんでしょう?」
「まじめすぎてスリルないし、男っぽくないよね」
「そんなことないですよ、男です」
 
涼子さんは僕の目を見て、悟ったような笑顔を見せる。
 
「私が横にいるのに何も起きないじゃん」
「だから何をして欲しいんです?」
「揉んで」
「え?」
「さわりたいでしょ?、揉んでよ」
「あ、肩のことですか?」
「ムネ…」
「そんな急に…、女性から言われてもムードないし、
 全然盛り上がらないです」
「いざとなると女の子が恐いんだ」
 
涼子さんはベッドに仰向けで倒れ込み、
両手を大の字に、大きく延びをする。
 
「あーあ退屈だ、あと4時間でお仕事なのに」
「4時間って、午前二時から働くんですか?」
「アタシ、早朝ラジオ出るんだ、聞かなくていいからね」
「寝たほうがいいですよ、カラダ壊します」
「お迎えのクルマの中で寝るからいいの」
「寝不足でハイになってますね」
 
涼子さんは仰向けの僕の上に乗りかかってくる。
 
「上だけ脱いでさ、ちょっと抱き合ってみようか」
「それなら、なんとかなるかも…」
 
エッチな漫画や写真集だと欲情するのに
涼子さんを目の前にして僕は興奮よりも戸惑いの方が強い。
童貞クンはだめだな。
 
つづく
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