No.14 短いラブストーリー
 
涼子さんは上の服…、ブラウスっていうのかカッターシャツか
ボタンの並んでいるヤツ。
そのボタンの一番上から一つ二つと外して、僕に首の付け根辺りをさらし始める。
 
「そんなに見つめたら、恥ずかしいな」
 
見ている僕だって恥ずかしい。
けど、この機会を逃しては二度と見られないかもしれない女性の肌。
三つ目のボタンからはブラジャーの見える位置。
 
「めがねくんも脱いで」
 
僕は慌ててシャツを脱いだ。
僕のカラダ、あまり人には見せたくない。
僕は両腕で自分のお腹と胸を隠した。
涼子さんはすべて外して、へそが見える。
涼子さんは僕の肌色の上半身を眺めると
 
「なんか、やっぱやだな…」
 
僕は全身の血流が止まった痺れるような感覚、
ありきたりに言えば涼子さんの言葉に傷ついてしまった。
ショックだ。想像できたことだけれど。
僕は自分のカラダに自身がない。
 
「僕がかっこわるいから、さわりたくないんですね」
「そうじゃないけどさ…
 やっぱカラダをふれあうのは、ちょっと違うかなって…」
 
正しい。
僕は萎える気がした。
実際萎えている。
涼子さんは大きなあくびをする。
 
「寝る」
 
涼子さんはお休みを告げると自分の部屋へ戻っていった。
僕の目には涼子さんのウエストのへそが焼き付いている。
美しかったな。
いつかその部分に触れることも出来るかもしれない。
 
FM東京をつけると宇多田ヒカルのボーカルが流れてきた。
それを聞きながら、汚れたメガネをシャツの袖で拭いた。
 
つづく
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